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ペットとドライブvol.1~愛犬の車酔い

暖かくなってきて、愛犬の写真をアウトドアで撮りたい!と思っている飼い主さんは多いと思いますが、その愛犬がクルマ嫌いだったりするとお出かけどころではなくなってしまいますね。そこで、「ペットとドライブvol.1」では、愛犬の車酔いについて獣医師の石田陽子先生にお話を聞いてみました。「ペットとドライブvol.2」では、ASV(先進安全自動車)またはADAS(先進運転支援システム)と呼ばれる機能がお役に立つのではないかと考え、いくつか機能を紹介します。
Q:石田先生、犬も車酔いをすると言いますが、どんな症状になりますか?
最初は、ソワソワしたり、クンクンと鳴いたりして、次第に口をクチャクチャ、舌をペロペロするようになり、よだれが多くなることもあります。さらに気分が悪くなると嘔吐してしまいます。

Q:車酔いの原因は何ですか?
恐らく人間と同じで、揺れを感じとる三半規管からの情報と、ペット自身に見えている状況から得る感覚のズレが脳で消化しきれずに気分が悪くなるというものです。人間の同乗者は、窓外の景色が見えていますが、ペットはクレートやキャリーケースに入っているため、ますます周囲の情報が少ない状態に置かれていることになります。
過去に乗車で調子を崩したり、怖かったという体験があると、緊張度が高まってより体調が悪くなるという悪循環になることもあります。また、その時の体調も影響します。一方、最初からまったく問題ない子や練習して症状が出なくなる子もいるので、個体差があるという点も人間と同じです。ずっとダメという子には、ペット用の酔い止めの薬があるので、かかりつけの動物病院で処方してもらうことができます。
Q:車酔いにならないようにするには?
愛犬を車酔いさせないためには、まずはクルマに乗るということが楽しいと思わせることが大切です。そのため、いきなりドライブに出るのではなく、まずは止まった状態のクルマに乗せて、クルマは楽しいところであると感じてもらうことから始めるのがお勧めです。そして、最初は近距離・短時間の乗車でトライし、徐々に距離を延ばしていくのが良いでしょう。
Q:ドライブの際に気を付けることは?
乗車の際には、クレートやキャリーケースに入れて乗せる必要があります*。また、シートベルトを通せるハーネスや、リードでつなげるドライブボックスなど、いろいろな形状のものがありますが、急ブレーキの際にリードで首を圧迫してしまうこともあるので、クレートが一番安全ではないかと思います。窓から顔を出していたり、助手席で飼い主さんの膝の上のワンちゃんをよく見かけるのですが、とても危険です。急ブレーキの際には、フロントガラスに激突してしまいますし、助手席ではエアバッグにつぶされてしまうこともあり得ます。また、ケースを置く向きにも注意点があります。車内空間とケースの大きさの関係で、進行方向に対して横向きに置くことが多いと思いますが、そうすると中のペットは、発進・停止のたびに横揺れを受けることになります。荷室が大きければタテに置く方が負担が少ないでしょう。
*車内でフリーな状態での乗車は、道路交通法違反となります。

ロングドライブの際には、2-3時間に一度、休憩をして気分転換ができると車酔いの予防になります。最近増えてきたサービスエリアのドッグランを利用するのも良いですし、ドッグランを嫌う子もいるので、その場合は、外を少しお散歩するだけでも違います。
Q:愛犬とドライブを楽しみたい飼い主さんへのメッセージをお願いします。
ドライブに慣れてくると、揺れの状態やエンジン音などから加速やブレーキの感覚を覚えて、自然と足で踏ん張ったりできるようになる子もいて、こうなるともうドライブ上級者ですね。最初にお話ししたように、揺れが車酔いの原因となりますので、飼い主さんの運転の仕方がとても重要です。急発進・急ブレーキ・急ハンドルはなるべく避けて、優しい運転をすることで、愛犬の負担を減らしてあげてください。
楽しいドライブ体験を何度もすると、飼い主さんがクルマのキーを持っただけでウキウキと玄関に向かっていき、ドライブ終盤でクルマがバックし始めると、駐車場に着いたと察知してはしゃいだりもします。そんな愛犬の姿を見るとますます愛おしくなりますよね。
私自身もドライブ好きで、以前飼っていた愛犬とよく箱根あたりに走りに行っていました。皆さんもペットとのお出かけを思う存分楽しんでいただきたいと思います。

石田先生、ありがとうございました。
ペットとお出かけしたいけど、車酔いが心配。獣医師の石田先生に愛犬の車酔いについて聞いてみました。

これまでさまざまな業種・企業で広報・IR・渉外を担当。フォードジャパン、トヨタ自動車、フォルクスワーゲングループジャパンという日米欧のマスブランドの自動車会社に勤務した経験を持つ。政府の自動運転プロジェクト「SIP-adus」の広報担当を経て、現在はASV推進計画の広報担当に。運転に自信のないドライバーの視点で発信。