高齢者による運転というテーマでは、どうしても事故にまつわる話題が多くなってしまいますが、今日は運転により健康の維持増進につなげようというお話です。
昨年、国土交通省が行った全国1万人の免許保有者へのアンケート調査では、男性の場合、年齢が上がるにつれて、運転に自信がある人の割合が増えるということが明らかになりました。70歳代男性では、「自信がある」「どちらかと言えば自信がある」という割合が7割に達し、運転頻度も約7割の方が2日に1度以上は運転しています。この数字を見て、「危なっかしいなぁ」という感想を持つ方もいると思いますが、運転の目的を見ると9割の方が「買い物」を挙げています。
日本において、クルマを使わずに買い物に行けるような街は一部の大都市に限られます。それ以外の街では、シニアの方々もクルマでスーパーに買い出しに行かれますし、きっとそれは生活のハリになっているのではないでしょうか。ならば、むやみに運転を「危ない、止めよう」というのではなく、運転によるメリットに着目して、それが続くような方策を考える方がより合理的ではないでしょうか。
ということで、ここでは、シニアドライバーの皆さんの日常の運転シーンに合わせてお役立ちとなる運転支援機能を紹介します。
駐車が不安? パーキングアシストがあります
混んだ駐車場で後続のクルマがいる中でサッサと駐車を済ますのは、シニアでなくても緊張するものです。そんな時に心強い助けとなるのが、パーキングアシストです。駐車スポットを決めたら、クルマがハンドルを適切に操作してくれます。一度で入りきらない場合は、切返しもやってくれます。その間、前進やバックのギアチェンジはクルマが指示してくれます。モデルによってはギアチェンジもペダル操作もすべてクルマが行うものや、運転席から降りてリモートで駐車してくれるものもあります。
運転に自信のある方は、「いやいや、機械がやるより自分でやった方が早いだろう」と思われると思います。もちろんそういう方は、ご自身の感度を保つためにも引き続きカッコよく一発駐車をお願いします。JAFのテストによると、パーキングアシストによる車庫入れは約1分、JAFインストラクターも約1分、そして駐車が苦手なモニターさんは約2分半という結果でした。もともと駐車が苦手で、最近不安が増しているようであれば、ぜひパーキングアシストを試してみてください。
駐車場から出る時に、うっかり踏み間違い
お買い物も済ませ、「よし、帰ろう」という時にそれは起きます。交通事故総合分析センターによると、65歳以上のドライバーに多く、駐車場内で、特にバックでの発進時に多く発生しています。そして、気が動転して、間違って踏んだアクセルペダルをブレーキと思い込んでさらに踏み込むという事態に陥ることも。
そうなってしまう前に、ペダル踏み間違い時の加速抑制装置 の搭載を検討しましょう。この機能は、アクセルペダルの誤操作が疑われ、かつ障害物への衝突が予測される場合に、急発進や急加速を抑制するものです。既に持っている愛車に後付けできる装置もあり、自治体によっては設置に対して補助を行うところもありますので、ぜひ積極的に取り入れてみてください。

運転中に気を失った!
シニアになれば、急に体調が悪くなることも増えてきます。運転中に気を失うのはよほどのことではありますが、もしそうなったらご自身の命と周りのクルマや歩行者の命に係わる重大事です。そんな時でも重大事故を回避できるシステムとしてドライバー異常時対応システムがあります。
車内のカメラでドライバーに異常が起きていると判断した場合、ドライバーに大きな警告音で注意を促します。それでも反応しない場合は、周囲にドライバーの異常を知らせるために非常灯を点滅し、ホーンで大きな音を鳴らします。そして、徐々にスピードを落とし、同一車線上あるいは路肩に寄せて停車します。コネクテッドサービスといったいつでもヘルプデスクとつながる契約をしている場合は、車内のスピーカーからドライバーに呼びかけるとともに、救急車の手配など迅速なサポートを受けられます。これならば、家で待つご家族にも少し安心してもらえるかもしれません。

「運転に自信あり」というポジティブな感情を、先進の技術の力を借りて「確かな安全」につなげることで、あなたの運転寿命を延ばしましょう!