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「自動ブレーキ」でもブレーキはドライバーが踏む!

「自動ブレーキ」でもブレーキはドライバーが踏む!

あなたは、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置について、警告が鳴ったら運転者がブレーキを踏む必要があることを知っていますか?

こんな質問を1万人の免許保有者に聞いてみました※1。すると、「知っている」という人は、全体の半分以下という調査結果が出ました。

※1 1万人調査:国土交通省が取り組んでいるASV推進計画の活動として、本年2月9-16日に全国10,000人の男女(有免許者)を対象に行った、自動車の先進安全機能に関する認知度や利用の状況についての調査「令和5年度 ASV機能に関する調査」

衝突被害軽減ブレーキ」は、前方の障害物との衝突の可能性がある場合は、警報でドライバーに知らせ、さらに衝突が避けられないと判断した時は、自動で制御装置を作動する機能です。「自動ブレーキ」と呼ぶ人もいますが、あくまで「運転者の衝突回避行動」を「サポート」する装置です。ですから、衝突しそうなケースでは運転者は直ちに自らブレーキを踏む必要があります。

また、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は、間違ってアクセルを踏み込んだ時に急発進や急加速を抑制する装置です。文字通り「抑制する」装置なので、必ずしも停止するわけではなく、車種によってはエンジンの出力を抑えるだけでブレーキは作動しないものもあります。ですから、踏み間違いの警報が鳴ったら、運転者は直ちに自らブレーキを踏む必要があります。

ここまで読んで、「えっ、そうなの?」と思ったあなた。まずは正しく知っていただけて、ありがとうございます。

では、これは知っていますか?
「衝突被害軽減ブレーキ」は、雨や雪道、下り坂など走行条件によっては事故を回避できない可能性があります。「被害軽減」にはなりますが、事故を起こしてしまったら、そのこと自体がショックですよね。ですから、事故防止にはやはりドライバーがしっかりブレーキを踏んで確実に止めることが大切です。

もう一つ、これは?
「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」は、アクセルを踏み続けると機能が解除されます。これは、例えば踏切内で下りてきた遮断器を障害物として認識し加速できなくなり、踏切内に閉じ込められる事態を回避するためにそのように設計されているのです。これを知っている人は、1万人調査では2割程度でしたから、機会があればあなたの周りの人にも教えてあげてください。

※2 交通事故総合分析センターによる調査 交通事故分析レポート参照 info133.pdf (itarda.or.jp)

「衝突被害軽減ブレーキ」は2021年11月から国産新型車に搭載が義務化され、来年には既存車種の新車にも義務化の対象が広がります。実際にこの機能を搭載したクルマの事故率は、搭載していない車両に比べて昼間で65%、夜間で57%も低いという調査※2があり、事故防止に貢献しています。「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」も搭載義務化の方針が出されています。一方で、国土交通省にはこうした機能が正常に作動しなかったという情報が寄せられており、その中には装置の不具合ではなくユーザーの誤った認識や理解不足によるものもあります。

実際には、ぶつかりそうだと分かっていながらまったくブレーキを踏まない人は殆どいないと思います。ただ、「このクルマは衝突しそうな時でも自動で止まってくれる」と日ごろから安心していると、いざという時に動作が遅れるかもしれません。そしてそんな時に限って雨の日の下り坂だったりするものです。過信は禁物。Drive Safe!安全運転で行ってらっしゃい!

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1万人調査の結果、衝突被害軽減ブレーキでは運転者がブレーキを踏む必要があることを知っている人は全体の半分以下。

藤井郁乃
ASV広報担当

これまでさまざまな業種・企業で広報・IR・渉外を担当。フォードジャパン、トヨタ自動車、フォルクスワーゲングループジャパンという日米欧のマスブランドの自動車会社に勤務した経験を持つ。政府の自動運転プロジェクト「SIP-adus」の広報担当を経て、現在はASV推進計画の広報担当に。運転に自信のないドライバーの視点で発信。