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アンケート調査

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トンネルの出口でレーンキープアシストが効かない?

トンネルの出口でレーンキープアシストが効かない?

今や4台に1台は全車速ACCやレーンキープアシストを搭載

今年2024年2月に国土交通省が行った1万人への調査では、全車速アダプティブクルーズコントロール(以下全車速ACC)やレーンキープアシスト機能は今や4台に1台(全車速ACC:24.1%、レーンキープアシスト:24.5%)の自家用車に搭載されていることが分かりました。全車速ACCは、一定速で走行する機能および車間距離を制御する機能をもった装置です。また、レーンキープアシストは、走行車線の中央付近を維持するよう操作力を制御する装置です。いずれも最近では軽自動車にも装備されるようになっているので、これからも搭載率は確実に上がっていくはずです。

では、その機能を使っている人はどのくらいいるのでしょうか。ご自身の自家用車にこれらの機能が搭載されている人のうち、全車速ACCを高速道路で使用する人は半分以上(55.7%)、レーンキープアシストを高速道路で使用する人は3/4以上(77.1%)という結果でした。全車速ACCはまだ少し利用率が低いのですが、どちらの機能もクルマの利用頻度が高い人は積極的に使っているようです。

※1万人調査:国土交通省が取り組んでいるASV推進計画の活動の一環として、2024年2月9-16日に全国10,000人の男女(有免許者)を対象に自動車の先進安全機能に関する認知度や利用の状況について調査した「令和5年度 ASV機能に関する調査」

あまり知られていない機能限界

このように安全運転支援システムの普及が進んでいますが、その作動条件や機能限界については詳しく知られていないという実態が調査から見えてきました。例えば、レーンキープアシストは、トンネルの出入り口などの明るさが急に変わる時に作動しない場合があります。これは、多くの場合、カメラで車線を検知するシステムとなっていますが、明るさが急に変わるとカメラ画像の解析処理が追い付かず車線が認識できなくなるからです。トンネルを出た瞬間にカーブがあったりすると、認識せずに直進する可能性があります。しかし、自家用車にレーンキープアシスト機能が搭載されている人のうち、こうした機能限界を知っている人は半分以下(47.7%)でした。また、車線がかすれている場合も同じように機能が制約されますが、こちらの認知率もおよそ2/3(67%)でした。

また、全車速ACCについては、例えば急カーブには対応できない場合があります。しかし、自家用車に全車速ACCが搭載されている人のうち、こうした機能限界を知っている人は2/3(66.7%)でした。なぜ対応できないかと言うと、追従走行中に急カーブに差し掛かると、先行車がセンサーの検知範囲から外れることがあるためです。そんな時に、それまでの先行車が設定速度よりも遅いスピードで走っていた場合、あなたのクルマは急カーブにもかかわらず急に設定速度までスピードアップすることになります。とても危険な状況になることが想像できますよね。一旦、ドライバー自身がブレーキを踏んで減速することでACCは解除されますから、急カーブを回り切ったら改めてACCを設定しましょう。

面倒かもしれませんが、先進安全機能を正しく使うには、ドライバーが支援機能の限界を正しく理解することが大切だと思います。

人間ドライバーはスゴイ

こう考えると、人間は実に多彩な感度で瞬時にさまざまな情報を取り入れ、判断し、操作しているのですね。どちらの機能もあくまで私たちの運転のサポートです。自分自身が運転している意識をしっかり持っていれば、問題なく対応できるはずです。過信は禁物。Drive Safe!安全運転で行ってらっしゃい!

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今や4台に1台はACCやレーンキープアシストを搭載。しかしその機能限界を知る人は少ない。

藤井郁乃
ASV広報担当

これまでさまざまな業種・企業で広報・IR・渉外を担当。フォードジャパン、トヨタ自動車、フォルクスワーゲングループジャパンという日米欧のマスブランドの自動車会社に勤務した経験を持つ。政府の自動運転プロジェクト「SIP-adus」の広報担当を経て、現在はASV推進計画の広報担当に。運転に自信のないドライバーの視点で発信。