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運転に自信がない人こそ、最新システムを使っていない?
昨年10月、ジャパン・モビリティ・ショーには110万人以上の来場者が集まりました。「モビリティ」と名前が変わったものの、国内外の自動車メーカーが最新モデルやコンセプトカーを展示するこのショーに詰めかけるのは、やはり多くがクルマファン。
会期中には、日本自動車工業会の主催により「ASV試乗会」と称して、「Advanced Safety Vehicle(ASV)」に試乗できるイベントが行われました。これは、トヨタ、日産、ホンダなど国内メーカーに加えBYDも参加し、会場周辺の一般道や湾岸エリアの高速道路を、説明員の同乗付きで試乗するプログラムです。会期中の当日予約は開始とともに瞬殺で満杯になる人気ぶりでした。そんな予約の難関を乗り越えた参加者は、やはり相当なクルマ好きぞろいのはず。試乗直後の参加者に直撃し、ASVについてプチアンケート(回答者149人)を実施してみました。
当日、試した先進機能は、主にACC(Adaptive Cruise Control)※1とレーンキープアシスト※2。これらのシステムを普段から利用しているというドライバーの方々に、機能について聞いてみると、さすがに利用しているだけあって、機能に関する知識は利用していないグループよりも高い結果が出ました。ただ、一つ気になる結果が。それは、「どちらの機能も『自動運転』ではなく、運転の責任はドライバーにあるため、よそ見をしてはいけない」ということを「初めて知った」と答えた人が、利用者中3割もいたことです。実際によそ見をしているわけではないとは思いますが、過信は禁物です。さらにハンドルから手を離すことができるハンズオフ機能を「自動運転」と勘違いしている人はベテランドライバーにも見られます。
(JMS・ASV試乗会アンケート結果より)
アンケートでは「運転に自信があるか、ないか」を聞いたところ、さすがクルマ好きぞろい。およそ7割が「自信がある」「どちらかと言えば自信がある」という結果になりました。そんな中、少数派の「自信がない」「どちらかと言えば自信がない」という人たちのクルマ事情を見てみると、過半数の人が、ACCやレーンキープアシスト機能が搭載されたクルマに乗ったことがないと回答。これはもったいない。前述の通り、いずれの機能も自動運転ではありませんが、例えば高速道路でACCのスピード設定をしておけば、無意識のうちにスピードを出すぎてしまうことを防げます。あるいはレーンキープアシストは、緩やかながらもカーブが続く不慣れな道での運転でもハンドル操作のミスを防ぐことが可能なので、初心者ほど安心感が持てる機能です。
ASVは、「上手い運転」をプログラミングすることで、どんどん進化しています。これにより運転に自信がない人でも運転が上手く感じられるかもしれません。運転に自信がない人こそ、最新の運転支援システムの搭載車に乗ってほしいですね。ただし、「自動運転」ではないので、よそ見は禁物ということも忘れないようにしましょう。
※1 ACC
定速走行する場合や追従走行する場合の運転負荷を軽減するため、中高車速域では運転者がセットした車速で定速走行する。定速走行中、自車より遅い先行車がいた場合、先行車との車間距離を適切に維持する。低車速域では先行車との車間距離を適切に維持するタイプもある。何らかの理由で先行車に接近しすぎたことや、先行車の急制動などに対応しきれないことを、運転者に注意を喚起する。
※2 レーンキープアシスト
走行車線の中央付近を維持して走行する際の運転負荷を軽減するため、走行車線を認識し、車線維持に必要な運転者の操作を支援する。何らかの理由で車線から逸脱しそうになった場合には、警報や支援で運転者に喚起する。
アンケート結果から見えてくる意外な事実。技術の進化にあなたはアップデートできていますか?
これまでさまざまな業種・企業で広報・IR・渉外を担当。フォードジャパン、トヨタ自動車、フォルクスワーゲングループジャパンという日米欧のマスブランドの自動車会社に勤務した経験を持つ。政府の自動運転プロジェクト「SIP-adus」の広報担当を経て、現在はASV推進計画の広報担当に。運転に自信のないドライバーの視点で発信。