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先進安全技術も雪道は苦手? ~「あるある」を事前に知っておこう

この季節、雪道を運転される方も多いと思いますが、普段利用しているASV/ADASは時として適切に機能しない場面があります。ただでさえ注意が必要な雪道で急にそんな事態に遭遇すると、慌ててしまいますよね。こんな「あるある」について、挙げてみました。
■ 吹雪で前方がよく見えない
普段は万が一の時に頼りになる衝突被害軽減ブレーキは、車載カメラをセンサーとしている場合、吹雪になると機能限界となることがあります。というのも、カメラでは人の目で見えないものをセンシングすることは出来ず、悪天候の視界不良ではカメラの機能が失われてしまうからです。実は雪だけでなく、大雨の水滴が付着しても機能できないケースもあります。
■ 雪が積もって白線が消えた
車線中央の走行を維持するレーンキープアシストは、白線を検知して作動しますが、雪道では効かない可能性があります。
■ 車体に雪が凍り付いてしまった
駐車場などで役に立つ車両周辺の障害物検知も、車体の下の方についている超音波センサーに雪が付いてしまうと正常に働かなくなる可能性もあります。
■ 雪や氷で道が滑りやすくなってしまった
路面が凍っている中では、衝突被害軽減ブレーキのシステムが稼働しても、タイヤや車のブレーキ性能を超えた停止はできず、乾いた路面に比べ、速度が低下しない可能性があります。
■ 道路標識に雪がかぶっている
道路標識が雪だるまのようになっていることがあります。そんな状況では、標識をカメラが読み取れず、適切な判断・制御ができない可能性があります。
なんだか残念なお話ばかりになってしまいましたが、雪道こそ安全への注意が必要で、そこに先進技術が貢献してくれることが望まれます。ですから、自動車メーカー各社もさまざまな研究開発を重ねています。
カメラや超音波センサー、ミリ波レーダーなどセンサーにはそれぞれの特徴により、機能限界の条件も異なります。現在も最新のASV/ADASでは、カメラとミリ波レーダーを組み合わせてさまざまな状況判断に役立てていますが、今後、自動運転に向けたさらなるセンサーフュージョンの開発が進められています。また、これまでのデータを膨大に学習したAIによる安全機能の向上も期待されます。こうした自動運転に向けた急速な技術進化は、ASV/ADASの運転支援技術を基盤としたもので、市販車としても最新モデルに応用されることが期待されます。
自動車メーカーの努力によって技術が進み、リスクが少しでも軽減することを期待しつつ、今はとにかく自分の五感で道路状況の情報を把握し、安全運転を心がけましょう。
雪道の中で普段利用しているASV/ADASが適切に機能しない場面があります。雪道の「あるある」について挙げてみました。

これまでさまざまな業種・企業で広報・IR・渉外を担当。フォードジャパン、トヨタ自動車、フォルクスワーゲングループジャパンという日米欧のマスブランドの自動車会社に勤務した経験を持つ。政府の自動運転プロジェクト「SIP-adus」の広報担当を経て、現在はASV推進計画の広報担当に。運転に自信のないドライバーの視点で発信。